国際ロマンス(型)詐欺と呼ばれる詐欺を知っていますか?
2023年04月07日
名古屋丸の内本部事務所
弁護士 檀浦 康仁
国際ロマンス(型)詐欺というのは、インターネット上の出会い系サイトやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などで知り合った相手を、海外に居住する恋人や結婚相手になったかのように振る舞って騙すなどして、金銭を送金させる、詐欺の手法の一つです。
詐欺の手口は巧妙かつ多種多様ですが、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)のホームページによれば、最近の具体的な手口として、以下のようなものが挙げられています。
国際ロマンス詐欺の手口
- 自身の資産や高額の贈り物、家財を日本に送付するための費用や手数料の支払い要求。
- 現金や高価な贈り物が、積み替え港、到着港の税関で差し押さえられ、その関税や解除金、罰金を当局に支払う必要があるとして金銭を要求。
- 任地(紛争発生国)から日本に渡航するための航空賃を要求。
- 送った貨物の保険料として金銭を要求。
- 出張先で至急現金が必要となる緊急事態が生じ、送金を要求。
- 新たなビジネスのための機械を購入したが、持っていたカードが使用できないため、機械代金の立て替えを要求。
- 別れた前妻との間の子供が重病で、その入院費用と治療費を要求。
- 弁護士と名乗る者から、あなたの婚約者が海外の当局で拘束されたといって、その解放のための弁護士費用を要求。
まず、重要なのは、騙されないことです。 SNS等で知り合った海外の交際相手から金銭の要求があった場合であっても、安易に金銭の送金をしたりしてはいけません。
日本での「オレオレ詐欺」等の特殊詐欺の手口でも同様ですが、犯人は、「すぐにお金が要る」「すぐにお金を用意できないと大変なことになる」等と迫り、即断即決でお金を振り込ませようとしてくることが多いです。
お金を送る前に、まず、信頼できる誰かに相談しましょう。
もしも、騙されてお金を支払ってしまった場合、残念ながら、騙し取られてしまったお金を取り戻すことは、現実的には、非常に難しいです。
そもそも犯人が海外に居住している場合、どこに居住している何者であるのかを突き止めること自体に困難がある上、日本の警察に捜査してもらうことについても、海外には日本国の主権が及ばないために、非常に大きな限界があるためです。
お金を取り戻す、ということは難しいですが、被害を拡大しないためにも、速やかに、弁護士に相談すると良いでしょう。
例えば、犯人に「お金がないと大変なことになってしまう、日本に行った時に返すから、お金を貸してくれ」等と騙されて、借りてまでして、お金を用意して詐欺犯に対して送金してしまったというような場合には、犯人が約束どおりに送金したお金を返してくれなくても、被害者は、当然、借りたお金を返さなければならない義務があります。
このような場合に、借金を返すために、さらに借金をして、というようなことをしてしまうと、債務がどんどんと膨れ上がってどうしようもなくなってしまいます。
借りたお金を犯人から返してもらうというほかに、そのようなお金を返す当てがない場合には、借金を返済しなくて済むようになったり、返済する額を減らしてもらうことのできる、自己破産や民事再生といった法的手続きもあります。 なるべく早く、弁護士に相談してください。
但し、弁護士に相談する際には、ニセ弁護士に相談することがないよう、ご注意ください。
独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)のホームページで紹介されている国際ロマンス詐欺の手口の中には、上記のとおり、弁護士を名乗って、詐欺を働く者もいるようです。そのような手口に引っかかってしまわないよう、ご自身で弁護士を探すと共に、その弁護士について、日本弁護士連合会のホームページ等で、本当に実在するかどうかもきちんと確認してください。