育児休業に関する就業規則の記載例を社労士が解説

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弁護士コラム Column

育児休業に関する就業規則の記載例を社労士が解説

2025年02月03日
名古屋丸の内本部事務所  社労士 小木曽 裕子

就業規則における育児休業の規定方法

そもそも育児休業について就業規則に記載する必要があるのか疑問に持たれる方もいると思いますが、結論から申し上げますと育児休業は就業規則に記載する必要があります。

まず就業規則には必ず記載しないといけない事項(絶対的必要記載事項)が労働基準法で以下のように定められております。

絶対的必要記載事項とは

 (1)始業と終業の時刻、休憩時間、休暇、交代勤務の場合の転換に関する事項
 (2)賃金の決定、計算と支払方法、締め支払いの時期、昇給に関する事項
 (3)退職(解雇事由)に関する事項

育児休業は休暇と同視されることや、休業中の賃金計算方法を決める必要があることから上記(1) の休暇や(2)賃金規定に該当し、就業規則への記載が必要となります。

育児休業の記載内容について

記載内容については、育児・介護休業法に定められている通りでよい場合は「育児・介護休業法の定めるとおりとする」とすれば法律上の問題はありません。

ただし法律上で明確な定めがされていない事項もあります。

例えば、休業中の賃金の取り扱いについては有休か無給にするのかを含めて、各企業において決定する必要があります。そして、その決定された賃金の取り扱い方法について、就業規則や賃金規程に記載する必要があります。

また、法律上では、努力義務となっている事項や、詳細なルールが定められていない事項があります。

その場合「法律の定めによる」との規定だけでは、トラブルとなることや、どう判断したらいいか分からないという事態が予想されますので、できる限り自社の働き方に合わせて詳細に規定していくことをおすすめします。

当事務所では、就業規則の作成・変更に関する無料ご相談を受付ております。全国対応しておりますので、こちらからお気軽にご相談ください。

育児休業取得のための要件と期間

育児休業は、原則として1歳に満たない子を養育している場合に取得することが可能です。
​​保育所に入所できない等の一定条件を満たす場合は1歳6ヵ月(再延長で2歳)まで延長することができます。

​​なお、女性だけでなく男性も取得可能です。 また法改正により緩和が進められ、令和4年4月1日からは有期雇用の方についても、入社1年未満で取得することが可能となりました。  

育児休暇の取得対象から除外されるケース

・日雇いの方
 ・有期雇用であり、子が1歳6カ月に達する日までに、契約期間が満了し、更新されないことが明らかな方
 ・労使協定で除外された一定の方


入社1年未満の労働者を育児休業の対象から除外する労使協定を締結している場合、会社は育児休業の取得を拒むことができ、この除外要件は無期雇用の方も対象とすることが可能です。

また、育児休業取得申出の日から1年以内に雇用契約が終了することの明らかな方や、1週間の所定労働日数が2日以下の方も労使協定により除外対象とすることができます。

育児休業の就業規則記載例

<有期雇用労働者および労使協定事項該当者を育児休業対象者から除外する場合>

第〇条

1 育児のために休業をすることを希望する従業員であって、1歳に満たない子どもを養育するものは、この規則に従い育児休業を取得することができる。

ただし有期雇用従業員については、申し出た時点で子が1歳6ヵ月に達する日までに労働契約が終了し、更新されないことが明らかでない場合は育児休業を取得することができる。

2 労使協定により除外された次の従業員からの休業を拒むことができる。
​    
一 入社1年未満の従業員
二 申し出た日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

子の看護休暇とは

子の看護休暇とは、小学校入学前の子どもが病気やケガをした場合や、病気の予防(予防接種や健康診断)のために看護が必要となる場合に、子ども1人につき年間5日(2人以上の場合最大10日)の休暇を取得できる制度で、時間単位での取得が可能です。

子の看護休暇は年次有給休暇とは別で取得できるものであり、従業員が子育てと仕事をより両立できるような環境づくりを目的としたものになります。

対象者は日雇い労働者を除く労働者が対象となりますが、労使協定によって以下の労働者からの申出を拒否することができます。

1 雇用期間が6ヵ月未満の労働者
2 1週間あたりの所定労働日数が2日以下の従業員
 3 時間単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働(1日単位での取得は拒否できません)

また子の看護休暇を取得した日における賃金を有給にするか無給にするかは企業が自由に定めることができます。 そして、その決定した内容を就業規則へ規定します。

子の看護休暇の規定方法

子の看護休暇も、育児休業と同様に、就業規則への記載が必要となります。 記載する内容は以下になります。

・対象となる労働者の範囲
・取得するために必要な手続きの内容
・取得できる期間
・取得における賃金の有無や計算方法

法律に違反する内容は無効となる為、法律を順守した内容で作成する必要があります。

子の看護休暇における就業規則への記載例

子の看護休暇における記載例を一部ご紹介いたします。

第〇条    
1 小学校入学前の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇い労働者を除く)は、負傷又は疾病にかかった当該子の世話又は疾病の予防を図るために必要な世話をするために、年次有給休暇とは別で子ども1人につき1年間5日、2人以上の場合は10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の始期は4日1日から1年間とする。ただし労使協定によって除外された次の従業員からの申出は拒むことができる。

一  入社後、雇用期間が6ヵ月未満の者
二  1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

2 取得する従業員は所定の用紙にて事前に会社に申し出るものとする

育児休業と子の看護休暇の違い

育児休業と子の看護休暇は、仕事と育児の両立という目的は同じです。

育児休業は子が原則1歳に達するまでの期間を継続して休むことが可能なのに対し、子の看護休暇は、病気等で看病が必要な時に単発で休むという点が大きな違いかと思います。

育児休業と看護休暇の違いを以下にまとめました。

育児休業子の看護休暇
取得権利条件を満たせば取得可能(会社は拒めない)条件を満たせば取得可能(会社は拒めない)
対象者1歳に満たない子どもを養育する従業員(男女とも可)小学校入学前の子どもを育てる従業員(男女とも可)
取得期間原則1歳になるまで(最長2歳)1人の場合年間5日(2人以上最大10日)
取得中の賃金会社の規定による(有給か無給か)会社の規定による(有給か無給か)
国の給付金育児休業給付金として、休業開始時賃金日額×支給日数×67% (6か月以降は50%)なし

産後パパ育休とは

産後パパ育休(出生時育児休業)とは子が生まれてから8週間以内に、最大4週間の休業(最大28日間の休業)を取得する事ができる制度です。2回に分けて取得することも可能です。

制度自体は令和4年10月から始まったまだ新しいものです。

男性の育児休業の取得を促進するために取得のニーズが高い出産直後の時期に、より柔軟に取得できるよう設けられた制度です。  

なお、労使協定によって労使が合意した範囲内で休業中の就業も可能です。
ただし、就業には上限があり、休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分までとすることや、休業開始または終了日を就労日とする場合には当該日の所定労働時間数未満とする必要があります。

また、出生時育児休業給付金を受給する場合には、就業日を最大で10日まで(休業期間が28日より短い場合は、日数に比例して減少)とする必要がありますので、注意が必要です。

給付金額は育児休業と同じく、原則として”休業開始時賃金日額×支給日数×67%”となります。

産後パパ育休を取得する場合は、原則として休業する2週間前までに会社へ申出をする必要があり、分割する場合でもまとめて申出をする必要がありますので、ご注意ください。

男性の育児休業における規定例(産後パパ育休)

産後パパ育休は休暇に係る事項になりますので、就業規則への反映は必須となります。 まだ記載していない場合は早急に記載することをお勧めいたします。 就業規則への記載例は以下になります。

第〇条
1 子を養育するために休業を希望する者であって、産後休業を取得しておらず、 出生または出生予定日のいずれか遅い方から8週間以内の子と同居し、養育する者は、この規定に定めるところにより出生時育児休業(産後パパ育休)を取得することができる。

なお、日雇い労働者や一定の契約社員、また労使協定によって適用除外とした入社1年未満や週の所定労働日数が2日以下の従業員、そして申出から8週間以内に契約が終了する従業員を対象から除外することが可能です。

対象者を限定したい場合には、その旨も別途記載するようにしましょう。

社労士に就業規則作成を依頼するメリット

就業規則は、従業員の方の権利や義務を定めるものであるため、その作成や変更は企業にとって重要です。

労働基準法やその他の労働関連法規に適合しているか確認しつつ、企業の運営や秩序維持に支障が無いよう就業規則を作成することは、容易ではありません。

特に今回ご紹介した育児介護休業法は一部の内容が変更になったり、追加されたりなど毎年のように法改正が行われておりますので就業規則の改訂が追い付いていない企業も多いかと思います。

無料のテンプレートなどを使用した場合も、最新のものに更新されていない場合や義務ではない事項が記載されている可能性があるなど、法令違反や過剰な対応となってしまうことも考えられます。

少しでも不安がありましたら一度お気軽にご相談下さい。

社会保険労務士へ依頼することで、最新の法律に基づく適切な就業規則を作成できるだけでなく、従業員トラブルのリスクの低減や会社の問題点を把握することもできます。

また愛知総合法律事務所には社会保険労務士だけでなく、弁護士、司法書士、税理士も在籍しております。
就業規則の内容が、従業員とのトラブルとなった際のリスクや、会社法・税務上の問題が無いか、連携を取りながらワンストップでお客様にご提案行う事が可能です。 

就業規則作成・変更に関して無料でご相談を受けております。まずはこちらからお気軽にお問合せください。

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この記事の著者

小木曽 裕子

社労士

小木曽 裕子(おぎそ ゆうこ)プロフィール詳細はこちら

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