相続人が遺産を開示してくれない場合どうすればいいか弁護士が解説

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弁護士コラム Column

共同相続人が相続財産を開示してくれない そんなときはどうする?

2024年12月05日
四日市事務所  弁護士 本田 小夏

はじめに

両親等の死亡で相続が発生した場合、法定相続人となった人は、相続放棄の手続きをしたり、共同相続人間で遺産分割協議を行ったりなどの手続きを行っていくことになります。

​​今後どのような手続きを行うかを選択するにあたって、どのような相続財産があるのかというのは相続人としてはぜひ知っておきたい重要な情報だと思います。

​​しかし、相続人の一人がどのような相続財産があるかを全く開示してくれず、どのような相続財産があるのかが全く分からない…。 そのような場合には、他の相続人が自分たちでどのような相続財産があるかを調査することができます。

​​ 今回は、財産の種類別に、相続人が自ら相続財産を調査する方法を解説します。

預貯金調査方法

 ①どこの銀行に口座をもっているか一発で調べられる?

残念ながら、被相続人の名前からどこの銀行にどの預貯金口座を持っていたのかを網羅的に調べることはできません。各金融機関に対して、被相続人が口座を有していなかったか照会をかけていく必要があります。

② どのように調査していく?

全国にある全ての金融機関に対して照会をかけることはできませんので、まずは、被相続人がどこの金融機関に口座を有していたかの目星をつけておく必要があります。この際には、被相続人の生前の取引明細や郵便物、被相続人の生前居住していた場所の最寄りの金融機関などが参考になります。  

​​ある程度目星がつけば、その金融機関に対して預貯金口座を持っていたかどうか、各口座の残高について照会をかけていくこととなります。一つの金融機関に複数の口座をもっていることもあるので、通帳等が見つかっている金融機関に対しても照会をかけてみるべきです。  

​​この際には、自らが被相続人の相続人であることを証明するための戸籍謄本が必要となることが多いので、あらかじめ準備しておくとよいでしょう。

③ 被相続人の死亡前後の取引履歴もしっかり確認

相続財産の調査としては、被相続人が死亡した日の口座残高さえ分かれば十分と思われるかもしれないですが、どの金融機関に預金口座を持っているかが分かった際には、死亡時点での残高証明書だけではなく、死亡前後の取引明細書も入手しておいた方が安心です。 被相続人の死亡前後に、口座に怪しい動きがないかなどを調べることができます。

不動産の調査方法

① 固定資産税納税通知書の課税明細書を利用する方法

判明していない不動産の存在について調査する場合には、まずは固定資産税納税通知書の課税明細書が参考となります。もし、被相続人の自宅に課税通知書が保管されている場合にはそれを見ると、未登記不動産も含めて固定資産税課税台帳に記載された不動産内容を把握することができます。

② 名寄帳を取得する方法

課税明細書が手元にない場合には、名寄帳を取得するという方法でも不動産を調査することができます。名寄帳は、人ごとに市区町村ごとに所有不動産を整理したものになります。相続人であれば、不動産の所在する市区町村役場に請求することで、写しを取得することができます。  

​​ただし、名寄帳に記載されている不動産は、その名寄帳を発行している市区町村に所在する不動産のみとなっています。網羅的に調査することができないという点では預貯金と同様です。被相続人の生前の居住地や、他の所有不動産の所在地等から目星をつけて取り寄せる必要があります。

株式・有価証券の調査方法

株式や有価証券の場合も、被相続人が証券会社と取引があった場合には、口座を開設していそうな証券会社に対して照会を行っていくことになります。

① 証券会社が分からない場合にはどうする?

被相続人がどこの証券会社に口座を開設していたか分からない場合、まずは証券会社から届く郵便物等が手がかりとなることがあります。  

​​また、被相続人が証券会社で口座を開設していた場合には証券保管振替制度を利用していることが多いです。郵便物等から被相続人がどこの証券会社に口座を開設しているかが分からない場合には、株式会社証券保管振替機構に対して登録済加入者情報開示請求することで、被相続人が口座を開設していた証券会社が判明することがあります。

債務の有無の調査方法

相続財産の調査をする際には、当然被相続人に債務あったかどうかも気になると思います。しかし、特定の個人からお金を借りているという場合もあるため、全ての債務の有無を調査することは困難です。以下、債務の調査方法の一例を紹介します。

① 預貯金口座の取引履歴等から調べる

被相続人の預貯金口座の取引履歴が取得できた場合には、取引履歴上に債権者への返済履歴等が記録されている可能性があります。取引履歴を細かくチェックすることで、被相続人に債務があったかどうかが判明する可能性があります。

② 信用情報機関へ情報の開示請求をしてみる

被相続人がカードローンや、クレジットカードの利用により債務を負っていた場合には、信用情報機関に契約内容や、取引情報が信用情報として記載されています。信用情報機関に対して、信用情報の開示を申し込むことによって、被相続人の信用情報を確認することができます。

相続財産の調査を弁護士に頼むメリットは?

① 煩雑な手続きを弁護士に全て任せることができる

これまで解説してきたように、相続財産を調査するための資料は相続人が自ら手続きをして取得することができます。しかし、全ての相続財産を漏れなく調査しようと思うと、必要な書類を準備したり、金融機関に赴いたりと、非常に手間と時間がかかります。

​​弁護士に相続財産調査を依頼することで、このような煩雑な手続きを自分で行う必要はなくなります。相続関係の手続きは紛争が発生しやすく、ストレスを感じることも多いため、このような手続きを弁護士に一任できることは大きなメリットといえるでしょう。

② 事前に不正を発見し、適切な対処法をアドバイスすることができる

相続財産を調査していくなかで、他の相続人が相続財産である預金口座から多額の出金を繰り返していることなどが判明することもあります。

​​そのような他の相続人による問題行為が判明した場合には、弁護士が適切な対処法をアドバイスすることができます。

相続財産調査は手続きが多岐にわたり、また、他の相続人との紛争が生じる可能性もあり、非常に労力がいる手続きです。

​​他の相続人に相続財産を開示してもらえず困った場合には、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。

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