離婚後の養育費の支払いで公正証書を作ってもらえない場合

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弁護士コラム Column

公正証書作成に応じてもらえない場合

2022年02月18日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 渡邊 健司

弁護士の渡邊健司です。

​​ インターネットなどで,離婚後の養育費の支払いについて公正証書を作成した方がよいといった情報を目にしたことがあるかも知れません。

​​養育費について「支払を怠った場合に直ちに強制執行に服する」といった文言(執行認諾文言といいます。)を入れて公正証書を作成すれば養育費の不払いがあった場合に,直ちに強制執行の手続をとることができます。

​​そのため,養育費の不払いに対する抑止力となりますし(誰しも勤務先の給与などを差し押さえられるのは嫌なものです。),いざ不払いがあった場合にも回収することが容易になります。

​ もっとも,現実に離婚の協議を進めていく中では,すんなりと公正証書作成に応じてもらえるとは限りません。そもそも養育費の支払義務者においても執行認諾文言付の公正証書作成に応じることは義務ではありませんし,「強制執行に服する」との言葉から躊躇を覚える方も少なくないと思われます。

​​離婚協議において執行認諾文言付の公正証書作成を求めたが拒否されたといったお話しもよく聞きます。

​ 確かに,離婚協議において,養育費を請求する側からすると養育費支払を確保する上で執行認諾文言付の公正証書を作成しておくことは最善の方法です。しかし,公正証書作成にこだわり過ぎるあまり,離婚協議自体がストップしてしまっては意味がありません。

​ 相手が公正証書作成に応じてもらえない場合の対応として,公正証書ではない合意書,協議書を作成する方法があります。公正証書ではない私的な合意書に意味があるのかと思うかもしれませんが,直ちに強制執行を行うことはできないものの,養育費の金額を合意する契約書としての意味は問題なく認められます。

​​養育費支払義務者が私的な合意書によって養育費額を合意した事実を証明することができますので,養育費の不払いがあった場合に請求することが容易になります。

​ また,公正証書作成で対立し長期間が経過するくらいであれば,いっそ調停を申し立ててしまう方法もあります。調停や審判には時間がかかりますが,調停で合意した結果は調停調書となり,この調書には公正証書と同様,強制執行を行うことができる効力があります。

​​裁判所が間に入ってくれますので養育費の額について対立がある場合にも有効な方法です。

離婚や養育費について,どのような方法で協議,交渉を進めるのがよいかはケースバイケースであり,養育費支払義務者の資力や職業,子供との関係性,養育費支払期間,養育費支払額といった様々な要素によって1人1人違ってきます​​。

​​当事務所では,1人1人に合った最善の方法をご提案させていただきますので,お気軽にご相談いただければと思います。

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