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弁護士コラム Column

別居時の預金の持ち出し

2021年02月23日
岡崎事務所  弁護士 安井 孝侑記

離婚事件を担当していると,まず最初に婚姻費用の支払いが問題となることがほとんどです。

その中でも,
別居した際に,他方配偶者が預貯金を引き出して持ち出した点が問題となることがよくあります。​​​​

この点について,
一方当事者が別居にあたって,夫婦共有財産である預貯金を持ち出した場合には,これを生活費に充てたとしても,その精算は原則として財産分与においてなされるものと考えられています。​​

この考えについては,一般の方からするとかなり感覚と異なっている点かなと日頃感じるところです。

ただ,あくまで上記の考え方は原則ですので
他方当事者が,持ち出した金額について明確であって争いがなく,またそれを婚姻費用に充当させることに異論がない場合等には,これを差し引くことも許される場合があります。
​​​​​​​

そうすると,実際の調停の場合には,婚姻費用の先払いとして,婚姻費用の場面で精算されることがほとんどである印象です。
​​

どちらが正しいかは微妙なところですが,私としては,比較的資産に余裕がある人であれば,後の財産分与での精算で問題ないと思いますが,仮に唯一の財産を持ち出したようなケースであれば,むしろ今後の生活費として持ち出したという認識だと思うので,婚姻費用の先払いとして解決することが適切なのではないかと思います。

いずれにせよ,きちんと主張すべき問題だと思われます。

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