認知症の方の預金について
2021年02月18日
岡崎事務所
弁護士 安井 孝侑記
最新目にしたニュースですが,
全国銀行協会が,本人の利益に適合することが明らかな場合に限り,代理権がない親族でも,認知症患者の預金の引き出しを認める運用を始めるとのことです。
まだ,報道ベースの事実関係しか把握していない前提としてですが,色々と問題が起きそうな運用と思います。
ニュースの内容をみると
・預金名義の本人がどれほどの症状の場合に適用されるのか
・その判断資料はどうするのか(診断書とすると結局利便性に欠ける?)
・親族はどこまでを含むのか(同居を前提とするのか)
・対立している親族がそれぞれ「あの人が預金を引き出したいといっても拒否してほしい」と申告してきた場合はどうなるのか
・仮に引き出した金額を着服した場合に,本人からの責任追及に耐えうる管理体制が必要
などなど,ぱっと思いつく限りでも,色々と問題がありそうです。
預貯金の無断引き出しという点の難しさはまた別日にブログにしたいと思います。
上記のとおり色々と指摘しましたが,当該制度ができる背景のひとつとして,成年後見制度の利用しづらさが理由にあるとされているようです。
弊所では,成年後見人申立側の事件も,裁判所から成年後見人に選任されて執務している事件も何件もあります。
とすれば,成年後見制度を末端ですが担う立場として,制度が広まるように努力すべきと再度考え直させられたところです。
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