強盗事件における執行猶予判決の獲得
小牧事務所で執務しております、弁護士遠藤悠介と申します。私が担当した刑事弁護事件について、お話したいと思います。Aさんは,ナイフを用いて強盗を複数件行ってしまい,逮捕・勾留されてしまいました。強盗罪は,刑法に以下のとおり定められております。【刑法236条】1. 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。2. 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。難しい文章となっておりますが,ポイントは,「5年以上の有期懲役」と定められており,通常は執行猶予の判決を受けることができず,刑務所に入らなければならないという点です。そのため,私が最初に当該事件の相談を受けた際には,残念ながら刑務所に入らなければならないであろうと考えていました。しかし,よく内容を聞くと,自首(簡単に説明しますと,犯人が自分で警察署へ出頭することです。)が成立する見込みがあり,これが認められると例外的に執行猶予を受けることができる可能性が出てきました。そこで,私は,Aさんとかなりの数の接見を重ね(数か月にわたり,週に2~3日会いに行っていました。),執行猶予の判決を得て社会で更生の機会を与えることが本人のためにもなると考え,弁護活動を続けてきました。具体的には,被害者への謝罪及び弁償,社会で更生環境を整えること,Aさんに反省を促し書面を作成させること等を行いました。裁判では,Aさんが反省していることを,被告人質問などを通じ裁判官に理解していただくことができ,執行猶予の判決を得ることができました。私が法廷を出た際に,傍聴に来ていた学生が,「犯人はきちんと反省していたね。感動しちゃった」と話をしていたのが印象的でした。犯罪を犯してしまった際に,厳罰を求める風潮もありますが,大切なことは今後犯罪が起こらないようにするためにはどのようにするべきかだと考えています。本件では,実刑を受けて刑務所へ行くよりも,Aさんの今後にとってより良い結果が出たと考えています。