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弁護士コラム Column

相手方と会わずに離婚できますか?

2020年06月11日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 檀浦 康仁

1 はじめに ​​

​​こんにちは。 名古屋丸の内本部事務所の檀浦康仁です。​

​「夫と直接に話すのが怖いです。」 
​「妻と顔を合わせて話すのが絶対に嫌です。」 
​「離婚手続は,最後まで夫と顔を合わせずに進められますか?」
「離婚調停は同席で進められると聞いたのですが,本当ですか?」
​「妻のせいで,うつ病になったと思っているので,絶対に会いたくないです。」
​「夫からDVを受けてきたので,同じ空気を吸うだけでも嫌です。」​

​​離婚事件のご相談に当たって,良く聞く言葉,聞かれることです。​

​​典型的なのは,配偶者からのDV被害に遭っているようなケースですが,そのようなケースでなくても,弁護士に相談して,離婚を考えるというケースでは,多かれ少なかれ,配偶者と会わずに手続を進めたいと思っておられる方がほとんどです。 実際,離婚は,配偶者と会わずに進められるのでしょうか?​

​​以下,①協議離婚→②調停離婚→③裁判離婚という離婚の手続きの流れに沿って,お話しします。​​

​2 協議離婚について​ 

まず,協議離婚について,見てみましょう。協議離婚ができるケースは,配偶者と全く会わずに進めることができます。  離婚届に,サインをしてもらえばよく,これは,目の前でサインしてもらわなくても,郵送でも良いからです。  但し,配偶者本人が,本人の意思で署名押印をしていることが必要で,この条件が満たされていないと,後で深刻なトラブルになってしまうことがあります。

3 調停離婚について​

​​​次に,裁判所での話合いである調停の場合,手続きの期日(当事者及び裁判所の調停委員等の調停の関係者が集まって解決に向けた話合いを行うために定められた日時のことを「期日」といいます)は,当事者が別席を求める限り,一般的には,別席で手続きを進めてもらえます。

​​また,裁判所に出向く時間についても,一般的には,15分とか20分とか30分とか,ずらして指定してもらえます。 これに対し,話合いを進めていった結果,離婚の条件が整って,離婚が成立する最終の期日については,双方の離婚の意思の確認のため,同席で手続きを進めるのが原則です。

​​しかし,離婚の成立する最終の期日であっても,例えば,ひどいDVの被害を受けていたために同席によって精神症状が悪化するおそれがあるといった過酷な場合には,別席で個別に意思確認をしてもらえる場合もあります。  調停の場合,期日で顔を合わせなくても,期日の前後に,裁判所でばったり顔を合わせたり,待ち伏せされたりといったことに恐怖を感じるかも知れません。

​​しかし,これも,事前に裁判所に申入れをしておくと,呼出しの時間をずらしたり,こちらの話の終了後,相手方からの事情聴取の間にこちらを先に帰らせてくれたり,といった配慮をしてもらえます。

​​裁判所の建物の規模にもよりますが,ある程度より,大きな裁判所であれば,待合室の階も変えてくれるような配慮をしてもらえることもあります。​

4 裁判離婚について

離婚裁判に至った場合,弁護士を代理人に選任しておけば,裁判官の前で,直接に証言をする手続きである,当事者本人尋問の期日を除いては,そもそも裁判に出席しなくても良いです。

​​したがって,裁判手続に移行すると,当事者本人尋問の期日以外では,調停手続きのとき以上に,全く相手方と会わずに進めることが可能です。

​​当事者本人尋問の期日については,集中証拠調べの要請から,通常は,夫と妻の尋問が同一期日に行われます。  そのため,原則としては,この当事者本人尋問の手続のときだけは,顔を合わせることとなります。  ただ,特に,DV事案等で,相手方本人の目の前で供述することが非常に恐ろしいという場合等には,遮へい措置を執ってもらうことができる場合があります。

​​遮へい措置というのは,尋問を受ける人と,反対当事者との間や傍聴人との間に,遮へい板を置いて,お互いに,相手の状態を認識できないようにする措置をいいます。

​​遮へい措置を執ってもらえるのは,尋問を受ける人の心身の状態や,尋問を受ける人と相手方本人との関係等の事情によって,相手方本人の目の前で尋問を受けるときに,圧迫を受け,精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる場合で,裁判所が相当と認めるときです。   

5 おわりに

​以上のように,離婚事件の処理に当たって,相手方と顔を合わせることが困難なケースでは,なるべく相手方と顔を合わせることなく,手続きを進めていくことも可能です。

​​私達,弁護士法人愛知総合法律事務所の弁護士は,依頼者の皆様が,なるべく安心して離婚の手続きを進めることができるよう,日々努力しています。​是非一度,私達に何でもお気軽にご相談ください。

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この記事の著者

檀浦 康仁

弁護士

檀浦 康仁(だんうら やすひと)プロフィール詳細はこちら

名古屋丸の内本部事務所

所属弁護士会:愛知県弁護士会

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