その借金、民法改正でどうなる?
2021年05月31日
東京自由が丘事務所
第1 民法改正後の消滅時効の規定について
2020年4月の民法改正で債権の消滅時効期間が変わったことをご存じでしょうか。
民法改正前には、一定の業種や商事債権について短期の消滅時効が設けられ、それ以外の一般的な債権については、債権発生時から10年の消滅時効にかかるとされていました。
しかし、民法改正により、短期の消滅時効は廃止され、以下のようなルールになりました。
(1)権利を行使できる時(客観的起算点)から10年、
(2)権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年
のいずれかが経過した場合には、債権は時効により消滅する。
第2 客観的起算点と主観的起算点
例えば、契約書で、支払期限を合意した場合、権利を行使できる時(客観的起算点)と権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)も、支払期限の到来時となるはずです。
一般的な取引場面においては、権利を行使できるとき(客観的起算点)と権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)は一致するはずですので、民法改正後に発生した債権は5年の消滅時効にかかることが多くなるといえます。
第3 民法改正で時効期間は延びる?短くなる?
上記のとおり、一般的な契約における支払債権の時効は民法改正により、10年から5年に短くなったといえます。
他方、民法改正前には短期消滅時効が制定されていた一定の業種の債権は消滅時効が延びることになります。
例えば、民法改正前は、
・弁護士の報酬請求権は2年
・医師の診療報酬請求権は3年
・学校や塾の授業料請求権は2年
等とされていましたが、民法改正後は5年に延びることになります。
消費者金融からの借金の消滅時効は、民法改正前においても商法で5年と規定されていましたので、民法改正前後で消滅時効期間に変更はありません。
第4 注意!その借金は改正民法が適用される?
民法改正により、時効期間が伸縮することについてお話してきましたが、現在残っている借金に一律上記の民法改正後のルールが適用されるわけではありません。
新民法施行日(2020年4月1日)前に債権が生じた場合には、旧法を適用し、施行日以後に債権が生じた場合には新法が適用されるとされています。
第5 終わりに
今ある借金が時効にかかるか否かは重要な問題です。
現在、借金でお悩みの方はぜひ一度、弁護士にご相談ください。
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