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弁護士コラム Column

交通違反と刑事事件

2020年10月01日
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 松山 光樹

 交通事故を起こした場合には,①刑事上の責任(懲役,禁固,罰金等),②行政上の責任(点数制度),③民事上の責任(相手方に対する損害賠償),の責任が問われるということは,皆さん教習所でも話を聞いたことがあるのではないでしょうか。今回は,比較的軽微な交通違反における,①について説明します。

 道路交通法違反罪のうち,比較的軽微なもの(一時停止違反や信号無視等)については,本来であれば,刑事手続を経たうえで罰金等の刑事罰が科されるはずです。しかしながら,軽微な交通違反者のすべてに対してこうした刑事手続を行うことは現実的に難しく,法の目的にも適わないということで,交通反則制度が導入されました。

 比較的軽微な交通違反を行った人に対しては,その違反を現認した警察官等が,いわゆる青切符を渡して反則金の納付を求めます。これを受け取り,記載された期間(受領の翌日から数えて7日以内)に反則金の納付(※1)をした場合には,刑事手続に移行することなく終了します。

 上記期間内に納付をしなかった場合には,①青切符記載の出頭期日に通告センターに出頭して新たに納付書を受け取って納付をするか,②出頭せず郵送されてきた納付書を受け取って納付をすることにより,同様に刑事手続に移行することなく終了します。

 では,青切符を渡されたが,実際にそのような違反を行っていないことを刑事手続で争いたい場合にはどうすればよいのでしょうか。

 この場合には,上記の納付を行わなければよい,ということになります。反則金の納付はあくまで任意であり,刑事裁判を受ける権利が保障されている以上,交通違反をされたとされる事実を刑事手続で争いたい場合には,納付を行わず刑事手続に移行させ,そこで争うことができます。

 もっとも,争う上では,注意すべき点もあります。反則金を納付した場合には刑事手続に移行せず,したがって前科は付かないことになりますが,刑事手続に移行させて争ったが,仮に起訴されて有罪との認定がされた場合には,前科が付いてしまうことになります。争うのかどうかについては,証拠や負担を考慮して慎重に検討する必要があります。

 上記は交通事故が発生していない,軽微な交通違反についての話でしたが,そのほかにも交通事故と刑事事件がかかわるものは多くあります。お悩みの方は,どうぞお気軽にご相談ください。※1正確には「納付」ではなく「仮納付」です。

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