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弁護士コラム Column

身体拘束からの解放に向けた弁護活動

2020年09月07日
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 黒岩 将史

 犯罪の嫌疑をかけられ,逮捕・勾留された方及びそのご家族の最大の関心事が,身体拘束がいつまで続くのかという点だと思います。そこで,起訴・不起訴が決まるまでの身体拘束からの解放に向けた弁護活動についてご紹介したいと思います。

 

 起訴・不起訴が決まるまでの一般的な流れとしては,逮捕されてから72時間(3日)以内に,検察官が勾留請求するかを決め,勾留請求を決めた場合には検察官が裁判官に対し勾留請求を行い,裁判官が勾留請求を認めると勾留決定が出されます。この際の勾留期間は勾留請求の日より10日間とされることが通常です。

 もっとも,検察官は捜査のため,さらに10日間の勾留延長請求をすることが可能であり,裁判所が検察官の勾留延長請求を認めると,さらに勾留期間が10日間延長されることがあります。

 以上の流れを簡略化しますと,①逮捕⇒②検察官の勾留請求(3日以内)⇒➂裁判官の勾留決定(勾留請求の日より10日間)⇒④検察官の勾留延長請求⇒⑤裁判官の勾留延長決定(勾留期間の最大10日間の延長)⇒⑥検察官の終局処分(起訴・不起訴)という流れになります。

 

 弁護士の関わり方として,まず検察官に対し勾留請求しないよう申し入れる(②),検察官から勾留請求がなされた場合には,裁判官に対し勾留決定しないよう申し入れるといった活動を行うことがあります(③)。

 裁判官より勾留決定が出された場合には,勾留決定に対する準抗告(裁判官の勾留決定に対して異議を申し立てる手続)や勾留取消請求等を行うことが可能です(③)。

 準抗告等が認められない場合には,検察官に対し勾留延長請求しないよう申し入れる(④),検察官が勾留延長請求をした場合には,裁判官に対し勾留延長決定しないよう申し入れるといった活動を行うことがあります(⑤)。

 勾留決定と同様に,裁判所より勾留延長決定が出された場合には,勾留延長決定に対する準抗告(裁判官が出した勾留延長決定に対して異議を申し立てる手続)や勾留取消請求等を行うことが可能です(⑤)。

 勾留延長決定が出された場合でも,最終的に不起訴となれば釈放されますので,検察官に対して起訴しないように働きかけるといった活動を行います(⑥)。

 

 このように,身体拘束手続の各段階において,弁護士は身体拘束の解放に向けた活動を行っております。現在,愛知県弁護士会においても被疑者の不必要な身体拘束の解放を目指し,積極的に上記の弁護活動を行う運動がなされているところです。

 働いている方や学校に通っている方にとっては,身体拘束の期間が長引けば長引くほど,甚大な不利益を及ぼしてしまいますので,ご家族の方などが身体拘束を受けた場合には 早めに弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 弊所では,休日相談も行っており,土日に身体拘束が判明した場合でも迅速に対応することが可能ですので,どうぞお気軽にご相談ください。

 

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