「条例違反と刑事事件」
2019年11月18日
春日井事務所 池戸 友有子
新聞やニュース等で刑事事件と聞きますと,殺人,傷害,詐欺,窃盗といった事件を頭に浮かべることが多いのではないでしょうか。
これらの事件は全て刑法に明記されている犯罪です。
しかしながら,刑法に規定があるもの以外にも,「覚せい剤取締法」などの法律や,都道府県が制定した条例に違反する場合も,犯罪に該当します。
今回は,平成31年1月1日より改正施行された愛知県迷惑行為防止条例について,どのような行為が規制されているか,その一部をご紹介したいと思います。
第2条の2「卑猥な行為の禁止」では,公共の場所や不特定多数人が利用する場所での,のぞき見,盗撮行為が禁止されています。
似たような犯罪として,刑法では「強制わいせつ罪」が規定されています。
刑法との大きな違いは,刑法は被害者が13歳以上である場合,暴行,脅迫を伴う必要がありますが,条例では暴行,脅迫は不要という点でしょう。
違反した場合,条例では,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですが,刑法の場合は,罰金刑はなく,6月以上10年以下の懲役と格段に重い点も大きな違いでしょう。
第2条の3「嫌がらせ行為の禁止等」では,恋愛感情,悪意感情を充足する目的でのつきまとい行為等の嫌がらせ行為を禁止しています。
「ストーカー行為等の規制等に関する法律」では,恋愛目的での行為に限り規制対象となっているため,恋愛感情に起因しない,人間関係のこじれから生じた恨みなどに基づく行為は規制対象となっていませんが,条例では法律で規制できなかった嫌がらせ行為が禁止されました。
また,違反した場合,法律,条例ともに1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が定められています。
このように,刑法以外にも様々な法律により犯罪は定められており,重大な刑罰が定められていることも多々あります。
安易な気持ちで行ってしまった行為が,思いがけない犯罪に該当してしまうこともあります。
少しでもご不安な点があれば,遠慮なく弁護士にご相談ください。