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弁護士コラム Column

国選か私選か

2018年10月26日
丸の内本部事務所 弁護士 田中 隼輝

 ある時思いもよらず刑事事件の被疑者となってしまった場合,弁護人の選任方法としては,大きく分けて国選弁護と私選弁護というものがあります。国選弁護人という言葉を耳にしたことがある方はいらっしゃるかもしれませんが,それぞれどこが違うのか簡単に説明したいと思います。

 まず,国選弁護というのが,刑事訴訟手続において,貧困などの理由で私選弁護人を選任することができないときに国が弁護人を選任するものであるのに対して,私選弁護では被疑者や被告人又は一定の家族が弁護人を自ら選んで委任契約を締結するというかたちをとります。   

 私選では,国選と異なり委任契約を締結するので,必ず弁護士費用が発生します。国選においても被告人が費用の負担を命ぜられることはありますが,負担しても私選と比較すれば低額となります。この点は国選弁護における大きなメリットと言えます。

 それ以外にも,私選弁護人については,逮捕直後の時期からでも選任することができますが,国選は被疑者に対して勾留状が発せられた段階で選任がなされるので(ちなみに,平成30年6月1日から被疑者国選の対象事件が拡大されています。),逮捕直後の初動対応について弁護士に頼みたいということであれば私選弁護人を選任せざるを得ません。

 以上の違いを前提として,いずれを選択するのがよいでしょうか。

 まず大前提として,国選・私選のいずれであっても弁護人である以上,法的な権限は異なりません。また,いずれも被疑者・被告人となった者のために最善を尽くす義務があります。そうすると,費用面を考慮して国選を選択するほうがよいとも考えられそうです。

 しかし,国選弁護では前述の通りどの弁護士を選任するかの選択権が被疑者側にはありません。これが最も大きな違いであると言えます。そのため,刑事弁護の経験が少ない弁護士が選任されるということも十分あり得ます。

 もっとも,刑事弁護が必要な時というのは自分の人生がかかった場面ですので,より刑事弁護に詳しい信頼のおける弁護人を選任したいと考えるのが通常だと思います。その場合には私選で弁護人を選任するということも考えなければなりません。

 弊所には刑事弁護の経験が豊富な弁護士が多数在籍しております。私選で弁護人を選任したいということであれば,いつでもご相談いただければと思います。

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