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弁護士コラム Column

日本版の司法取引制度について

2018年05月28日
日進赤池事務所 弁護士 水野 憲幸

 平成30年6月1日より、改正刑事訴訟法が施行されます。

 その中で日本版の司法取引制度が開始されます。

 特定の財政経済犯罪及び薬物銃器犯罪について、被疑者・被告人が、共犯者などの他人の刑事事件の解明について協力行為を行うと、検察官が、その協力行為に対する見返りとして、不起訴などの、被疑者・被告人の刑責を軽くすることを内容とする合意をすることができるという制度です。

 この合意をする際には、その被疑者・被告人の弁護人が同意を行うことが条件となります。

 刑事弁護人の立場としては、色々と考えなければならないことが出て来ます。

 まず、被疑者・被告人の弁護人としては、合意をするに際して、本当に刑責が軽くなっているのかという点は特に注意が必要な点です。

 仮に合意により不起訴になったとしても、検察審査会の審議で起訴の議決がされると、合意の効力が失われ、起訴がされるという可能性もあります。

 また、司法取引目的で、軽微な犯罪を理由にした逮捕等が行われることも危惧されるところです。

 捜査機関に提供する情報が、真実の情報であるのかという点にも注意が必要です。

 次に、司法取引によって協力行為が行われた共犯者などの他人の立場で考えると、自らの刑責を軽くするために、虚偽供述が行われてしまい、えん罪に巻き込まれる危険があります。

 虚偽の協力行為に対して、適切に対応していくことが必要になります。

 新しい制度ですので、運用されていく中で、様々な問題が起きてくる可能性があります。

 当事務所としましては、新しい制度に対しても、速やかに適切な対応をしていきたいと思います。

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