平成29年7月13日改正刑法の施行 2
2017年09月08日
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 安井 孝侑記
平成29年7月13日施行された改正刑法についての刑事弁護ブログ第2回目です。
今回は、性犯罪の非親告罪化についてです。
改正前の刑法には、このような条文がありました。
第180条 第176条から第178条までの罪(筆者注:強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ罪及び準強姦罪)及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2項 前項の規定は、二人以上の者が現場において共同して犯した第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪については、適用しない。
以上の規定により、被害者が告訴しなければ、強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ罪及び準強姦罪については起訴されることがなかったのです。そこで、これらの罪が問題となっている場合には、被害者と示談し、告訴を取り消してもらうことができれば、起訴されることはなく、前科がつくことはありませんでした。
しかし、今回の刑法改正により、この規定は削除されています。
また、改正刑法の附則において、
第2条2項 この法律による改正前の刑法180条の規定により告訴がなければ公訴を提起することができないとされていた罪であって、この法律の施行前に犯したものについては、この法律の施行の際既に法律上告訴がされることがなくなっているものを除き、この法律の施行後は、告訴がなくても公訴を提起することができる。
という規定が置かれています。これにより、一度告訴されたがその告訴が取り消されたなどの理由により法律上告訴できなくなっている場合を除き、平成29年7月13日改正刑法の施行前に行った性犯罪についても、告訴がなくても起訴されるようになっています。
しかし、この改正があっても、被害者と示談することが無意味になったというわけではありません。
次回は、早期の示談が良い結果に繋がった事案を例に、示談の重要性を解説したいと思います。