思わぬ行為が犯罪に該当することも!
2017年03月17日
春日井事務所 弁護士 森下 達
先日,正当な理由なく懐中電灯を所持していたとして,福岡県在住の男性が軽犯罪法違反容疑で逮捕されたというニュースがありました。
これだけを聞くと「一体何が犯罪行為なのか?」という感想を持たれる方も多いと思います。そこで,軽犯罪法を調べてみると,おそらく同法1条3号に該当するのではないかと思います。
【軽犯罪法1条】
左の各号の一に該当する者は,これを拘留又は科料に処する。
三 正当な理由がなく合かぎ,のみ,ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
つまり,懐中電灯が「他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具」とみなされ,かつ,懐中電灯をカバン等に入れていたことが「隠して携帯していた」とみなされ,その結果として逮捕されたのではないかと思います。
事件の具体的内容は不明であるため,この逮捕の当不当には今回は触れませんが,この事件のほかにも,思わぬ行為が犯罪に該当することがあり得ますので,以下に紹介します。
・ 釣り銭詐欺
おつりを多く渡されたことに気が付いたにもかからず,その旨申告せずに,多いおつりを受け取る行為は,刑法246条の詐欺罪に該当する可能性があります(10年以下の懲役)。
・ 電車の列への割り込み
「威勢を示して」,電車待ちの列や演劇のチケットを購入するための列に割り込む行為は,軽犯罪法1条13号に該当する可能性があります(拘留又は科料)。
・ 唾や痰を吐く行為
街路又は公園等で,唾や痰を吐く行為は,軽犯罪法1条26号に該当する可能性があります(拘留又は科料)。
・ 前日のゴミ捨て
決められた日の時間帯以外に,ゴミを捨てる行為は,廃棄物処理法16条に該当し,同法25条14号により処罰される可能性があります(5年以下の懲役,若しくは1000万円以下の罰金)。
どれも,安易な気持ちで行ってしまうと思わぬ結果になることがありますので,決してしないようにご注意下さい。