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弁護士コラム Column

宝くじ当選金と財産分与

2018年07月06日
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 柿本 悠貴

宝くじ当選金の財産分与対象性については、過去にも当ブログで紹介いたしましたが(「これって財産分与になるの?宝くじ当選金の場合」)、近時、この点に関する裁判例が出ましたので、あらためて、ご紹介いたします。

 

財産分与とは、夫婦が婚姻中に夫婦の協力によって築いた財産を分配することを言いますが、宝くじの当選金は、財産分与の対象となるのでしょうか。たとえば、Aさんが、勤務して給与収入を得ており、その大半を家計にまわし(30万円程度)、残りを自身の小遣いにしていたとします(2、3万円程度)。Aさんがその小遣いの中から、毎月2000円を宝くじの購入にあてていたところ、ある日、2億円もの宝くじ当選金を得ることができました。Aさんの配偶者Bさんは、その後、Aさんと離婚した場合、宝くじ当選金の半分(1億円)を財産分与として請求することができるでしょうか。

 

ひとつの答えとして、東京高裁平成29年3月2日決定を参考にすると、宝くじ当選金も、財産分与の対象になると考えられます。つまり、Bさんは、Aさんに、宝くじ当選金の一部を請求することができるのです。この結論に対しては、Aさんは自らの(なけなしの)お小遣いの中から宝くじを購入していたので、宝くじ当選金はAさん固有の財産とすべきだ、との反論がありえます。しかし、宝くじ当選金のもとをたどると、Aさんの給与収入が原資となっており、Aさんの給与収入は、夫婦の協力によって築いた財産と考えられることから、宝くじ当選金も、夫婦共有の財産と考えられる可能性が高いのです。特に、宝くじ当選金の使い途が、夫婦が居住する住宅のローン返済にあてられていたり、夫婦の生活費にあてられていたりすると、一層、共有財産性を肯定します。

 

では、分与割合もAさん:Bさん=5:5になるのでしょうか。上記裁判例を参考にすると、Aさんが自らの小遣いの中から宝くじの購入を続けたことを重視し、Aさんが購入していなければ宝くじ当選金を取得することもなかったことから、財産形成の寄与についてAさんの方が大きいという判断がありえます。類似の事例である上記裁判例も、結論として、Aさん:Bさん=6:4の分与割合を認めました。

  

今回は、宝くじについての財産分与対象性、及び、その分与割合についての紹介でしたが、今後も類似の争点が出てくるものと思われます(投資の対象としての暗号通貨等)。資産形成について、本人の寄与度・才覚が問題となる場合は、分与割合が5:5にならない判断もあり得ます。お悩みの際には、一度、弊所にご相談下さればと思います。

  名古屋丸の内本部事務所 弁護士柿本悠貴

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