離婚公正証書作成のススメ
2016年08月10日
東京自由が丘事務所
1 離婚する際,気になるのは離婚後の生活です。
「やっぱり気が変わった。」といって慰謝料を請求されないか,養育費は約束通り支払ってもらえるか等,不安はつきません。
当事者間で養育費の支払いについて合意したとしても,「収入が減った。」,「再婚した。」などと理由をつけて相手方が養育費の支払いをやめてしまうことがあります。
そのような場合,公正証書がなければ相手方の財産から養育費を強制的に回収するには訴訟を起こして勝訴判決を得る必要がありますので,実際に支払いを受けるまで長い時間がかかってしまう可能性があります。
また,慰謝料の請求はしないという合意をした場合であっても,後になって相手の気が変わるかもしれません。離婚協議書を作成していたとしても,その書面を紛失してしまうと,慰謝料の請求はしないという合意内容を証明することは困難になります。
2 離婚公正証書には以下のようなメリットがあります。
(1)裁判における証拠としての価値が高い
公正証書は,法務大臣に任命された公務員である公証人が作成しますので,信用性が高く,公正証書の記載内容は法律的に有効なものであると認められます。
(2)もし紛失してしまっても安心
公正証書が作成されますと20年間,公証役場に保管されることになりますので,高い安全性が確保できます。もし公正証書を紛失してしまっても,公証役場で謄本(写し)を出してもらうことができます。
(3)早急に強制執行できる
相手方が任意に養育費や慰謝料などの金銭を払わない場合,銀行口座や給料を差し押さえるなどの強制執行手続きを行う必要があります。
予め公正証書を作成しておくと,訴訟を提起することなく,強制執行手続により養育費等を回収することが可能となるので,時間や費用を節約できます。
3 公正証書を作成するには,事前に離婚条件について合意を成立させておく必要があります。
合意すべき離婚条件に漏れがあれば,公正証書を作成しておいても,将来,トラブルに発展してしまう可能性があります。 公正証書には,上記のようなメリットがある反面,強力であるがゆえに,その内容については慎重に検討しなければなりません。
その内容によっては,離婚後に権利行使ができなくなったり,再協議を要することになりかねません。財産分与,養育費,子どもとの面会交流や慰謝料請求など,検討を要する事項はたくさんあり,当事者だけで漏れ無く決定するのは大変です。
弊所では,離婚公正証書の作成を検討されている方はもちろん,離婚条件を協議中の方,離婚後の生活に不安を感じている方等は,是非一度,弊所にご相談ください。