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弁護士コラム Column

証拠保全の対応

2018年04月24日
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 渡邊 健司

ある日,突然裁判所から証拠保全決定という文書が届き,間もなく裁判官や患者さんの弁護士が医療機関に訪れ,診療記録等の開示を求めてきた。そのようなご経験はないでしょうか。証拠保全とは,民事訴訟法上の制度で,「あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情」がある場合に,特別に証拠調べを行う手続です。医療事故などの紛争では,裁判の場で診療記録の証拠調べをすることが本来なのですが,裁判を起こしてからだと改ざんをされるおそれがあるということで,事前に証拠保全によって,裁判外での診療記録を開示させ,証拠調べをすることが一般に行われています。現在では,患者さんからの診療記録の開示には応じている医療機関がほとんどですが,患者さんから見れば,医療機関がカルテを改ざんしているという疑いは根強いのでしょう。 さて,証拠保全は突然来て,実施されますので,事前に開示するかしないかを検討する余裕はありません。また,裁判官が開示しろと言うので,言われるままに開示しなければいけないと考えてしまうかもしれません。しかし,医療機関の純粋な内部資料など,直ちに開示すべきではない資料もありますし,開示対象となるか法律家の間でも議論のある資料もあります(場合によっては裁判官に対して,開示対象ではないと反論すべき場面もあります。)。可能な限り,医療機関側の弁護士に連絡をとり,その指示に従って対応すべきです(弊所では,顧問契約を締結している医療機関には,お電話や電子メールでの迅速なご相談に対応しています。)。 また,そもそも証拠保全が来た場合にどのように対応するか,院内でマニュアルを作成しておくと,いざというときに安心です。当事務所医療チームの弁護士はいずれも証拠保全の現場立会いを数多く経験しておりますので,お気軽にご相談いただければと思います。

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