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弁護士コラム Column

診療報酬の適正な回収

2017年08月24日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士  渡邊 健司

 昨今,治療を受けたのに診療報酬を支払わない患者の増加が問題となっています。法的には,医療の提供も契約であり,医師ないし医療機関は,診療行為に対して適正な診療報酬を請求する権利があります(この裏返しとして,患者には,受けた治療について,診療報酬を支払う法的義務があります。)。 個々の診療報酬が少額ですし,督促の電話に対してクレームを付ける患者もいます。患者に対して強硬に未払診療報酬の請求をすることには躊躇を覚えるかもしれません。しかし,少額の未払でも積み重なれば医療経営に対して影響を及ぼしかねませんし,きちんと診療報酬を支払っている大多数の患者との公平性も考慮する必要があります。医療機関として,診療報酬の適正な回収は重要な経営課題といえます。当事務所でも,様々な規模の医療機関や,病院事業管理者から少額の未払い診療報酬の請求を受任しており,未払いの件数,未払いの診療報酬額の多さに驚いています。診療報酬の未払いはあり得ないと思っていましたが,その常識が通用しないことに時代の流れを感じざるを得ませんが,医療機関の経営も厳しさを増す中,多くの医療機関が未払い診療報酬に悩んでおられる事と推察します。 ところで,診療報酬を支払わない患者の診療を拒否できるかは,応招義務との関係で難しい問題があります。この点,行政通知において,診療報酬の不払いがあったとしても,直ちにこれを理由として診療を拒むことはできないとの解釈が示されていますが(昭和24年9月10日 医発第752号),同通知が昭和24年に出されたものであることに鑑みると,医療インフラが格段に発達した現代にそのまま当てはめることには疑問があります。患者が診療報酬を支払わない事情,支払いの意思や態度,治療を必要とする緊急性の程度等を踏まえ,悪質な診療報酬不払いに対しては,新たな診療を拒否することも検討すべきと思われます。 当事務所では,診療報酬の適正な回収について,回収方法の助言,指導から,弁護士による回収のご依頼まで対応しています。少額であってもご遠慮なくご相談いただければと思います。

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