任意の届出制度について
2016年12月09日
名古屋丸の内本部事務所
数年前から飲酒運転をはじめとする悪質な交通事故に対する社会的批判が高まり,法律面では刑法上の自動車運転過失致死傷罪,危険運転致死傷罪の創設,自動車運転死傷行為処罰法の制定等の対策が行われています。もっとも,重大な交通事故を完全に防止することは難しく,近時は高齢者の認知能力の低下に起因すると思われる事故が頻発しています。 この点,道路交通法101条の6は医師による任意の届出制度を定めており,この制度を利用した場合,公安委員会が免許取消しあるいは免許停止の処置をとるため,「何とか運転をやめさせたい」という認知症患者のご家族からのご相談に対するひとつの答えなのかもしれません。 もっとも,医療情報はプライバシー性の高い情報であり,届出を行う際の手続に違反があれば守秘義務違反等の問題が生じえます。また,事実上無断で届出をすれば患者の反発を招くのは確実であり,事前に十分な説明を行うことが期待されます。具体的な対応については,日本認知学会が定めるガイドライン及びQ and A(http://dementia.umin.jp/link2.html)が参考となりますが,個別具体的な事案の解決のためには総合的な考慮が必要となります。 弁護士は法の専門家として,紛争の解決だけでなく,紛争予防のためのご相談もお受けしております。名古屋を中心とした愛知・岐阜・三重にてお困りの際は,お気軽にご相談いただき,医師,患者,ご家族のそれぞれの立場に配慮した解決の一助となれば幸いです。