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弁護士コラム Column

遺言と遺留分

2015年07月21日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 横井 優太

弁護士は様々な依頼に基づいて遺言書作成のお手伝いをしています。

​​たとえば,

​​①生活に困っている相続人に居住用不動産や生活費を残したいという依頼,
​②親として子に行った援助に格差がある場合に,遺言でその埋め合わせをしたいという依頼,
​③一家の跡継ぎとなる相続人により多くの財産を残したいという依頼などです。

​​遺言をする方には,原則として自らの財産を自由に処分する権利があります。そのため,遺言によって,ある一人の相続人により多くの財産を相続させることが可能です。

​​しかし,遺言によって相続できる財産を減らされてしまう相続人の立場に立てば,生活を脅かされたり,潜在的な持分に対する期待が裏切れたりすることになります。これに歯止めをかける制度として,相続財産の一定割合を一定の相続人に留保する「遺留分」制度が設けられています。

​​このように,相続人の方で遺言内容に納得ができなければ,将来的に相続人間で争いが起きる可能性があります。そこで,依頼を受けた弁護士は,遺言書作成に当たって,相続人関係図や財産目録を作成して,遺留分権利者の遺留分を侵害することにならないかをチェックします。

​​その結果,遺言内容が明らかに遺留分権利者の方の遺留分を侵害することになれば,依頼者の方に改めて遺留分制度の説明を行い,遺留分を侵害しない内容の遺言を作成してはどうかと提案します。

​​それでもなお,遺留分を侵害する内容の遺言書を作成することが必要な場合には,そのような遺言をするに至った経緯や,遺留分権利者の方に遺留分減殺請求権を行使しないように求める付言事項を記載します。

​​これにより,相続人の方が依頼者の方の思いを汲み取り,遺言内容にご納得いただくことを目指します。どうしても納得が得られそうにない場合には,あらかじめ遺留分減殺請求の対象となる財産に順位付けをして,将来の紛争が複雑化しないように工夫をします。

​​遺言書作成の際には,将来的な紛争が発生する可能性をチェックして,これを防止する手立てを講じる必要があります。ぜひ一度弁護士にご相談ください。 

​​名古屋丸の内本部事務所 弁護士 横井 優太

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