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弁護士コラム Column

借金の相続で知っておきたい相続放棄とその範囲

2022年07月13日
名古屋丸の内本部事務所 

今回は、「借金の相続について」をテーマとして説明します。

​​亡くなられた方(被相続人)の相続人は、被相続人が生前負っていた借金について相続することとなります。

​​例えば、亡くなった父の相続人が、息子である長男と二男の2人であったとします。この場合、長男と二男はどのようにすればよいでしょうか。

相続における財産調査

まずは、父親の積極財産(プラス財産)と消極財産(マイナス財産)について、何があるかを調査・確認するところからスタートします。 積極財産には、具体的には、不動産(土地・建物)、預貯金、投資信託、国債・社債、株式、貴金属などの財産があります。

​​また、消極財産には、代表的には銀行などの金融機関からの借入、損害賠償債務、保証債務などがあります。借金は、いわゆる可分債務と呼ばれ、相続開始と同時に、各相続人は法定相続分に応じて当然に承継(相続)することとなってしまいます。

相続放棄と限定承認について

例えば、父親が金融機関から1000万円の借入をしていた場合、長男と二男は、法定相続分(2分の1)に従って、各500万円ずつ負債を相続することとなります。

​​長男と二男は、父親の負債を相続したくない(返済したくない)と考える場合には、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申立を行う必要があります。​​

​​3カ月以内に積極財産と消極財産の調査・確認が終わらない場合など相続放棄をするか迷っている場合には、家庭裁判所に期間の延長を申し出ることができます。

​​ また、限定承認といって、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対し、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務の負担を受け継ぐことを留保して相続の承認をすることを申し立てることができます。

相続放棄の際に気を付ける事

ただし、相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったことになりますので、借金などの消極財産を相続しなくてもよくなる代わりに、積極財産を相続することができなくなりますので、ご注意ください。

​​ また、相続放棄をするにもかかわらず、父親の積極財産を処分(使用)したりすると相続放棄をすることができなくなることがありますので、ご注意ください。

相続放棄の範囲について

仮に、長男と次男が二人とも相続放棄した場合には、相続権は、第二順位の相続人(被相続人の父母、祖父母などの直系尊属)に移ります。次いで、第二順位の相続人の全員が相続放棄した場合には、第三順位の相続人(被相続人の兄弟姉妹)に移ります。

​​なお、代襲相続といって、例えば、父親の死亡前に長男が死亡していた場合などには、長男の子が相続人となります(長男の子も死亡していた場合には、再代襲相続といって、長男の子の子も相続人になります。)。また、父親の死亡前に第三順位の相続人が死亡していた場合などには、第三順位の相続人の子も相続人になります。

​​上記説明の中で出てきた相続放棄、相続放棄の期間延長、限定承認について家庭裁判所に申立するためには、申述書などの作成の上、戸籍謄本など必要書類と一緒に家庭裁判所に提出する必要があります。

​​当事務所では、これらの書類作成・資料収集、手続代理の業務も取り扱っておりますので、相続放棄するかどうか迷われている方、また、相続放棄の方法がよく分からない方は、是非ご相談ください。

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