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弁護士コラム Column

お勧めできない治療法の説明

2015年03月09日

 手術などの治療の前に,患者さんに治療について説明をした上で,同意をしていただき,治療を行うことは,今やどこの医療機関でも行われていることでしょう。医師には法的に説明義務がありますし,説明を十分に行うことはトラブルを予防する観点からも有効と言われています。 ところで,治療方法が複数ある場合,どの治療がよいか,医師として「お勧め」をすることもあると思います。 医師としては,医学的に見てお勧めすべき治療が明らかであればあるほど,お勧めする治療については熱心に説明しますが,他方,お勧めできない治療法については説明を省略しがちな傾向があるように思われます。そもそも,お勧めできない治療については説明する意味がないと考えている医師もいるようです。 しかし,患者さんとのトラブル防止という視点で考えてみますと,お勧めした治療の結果が良かった場合にトラブルは起きません。結果が悪かった場合に,「他の○○という治療法があるのであれば,きちんと説明をしてほしかった」等と,トラブルが起きるわけです。お勧めできない治療法についてもなぜお勧めできないかをきちんと説明しておく意味があるように思われます。患者さんの立場から見ても,医師が勧めない治療についてもきちんと説明がされていれば,後に勧められた治療の結果が悪かったとしても,「他の選択肢の提示も受けた上で,自分で決めたんだ・・・・」,と結果を受け入れられるかもしれません。むしろ,お勧めできないからこそ,きちんとお勧めできない理由を説明して,患者さんに納得していただくことが重要ではないでしょうか。

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