逮捕されそうなんだけど、どうすればいい?
まず、捜査がどのように進展して逮捕に至るのかを知りましょう
捜査機関は、職務質問や被害届、告訴や告発などで犯罪の発生を知り、捜査を開始します。
被害届とは、被害者が捜査機関に対して、犯罪事実を申告するものです。これにより何らかの法的な拘束力が生じるわけではなく、捜査するか否かは警察の判断次第となります。
これに対して、告訴とは、被害者または被害者と一定の関係にある告訴権者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めるものです。被害届とは異なり、告訴を受理した捜査機関は捜査を開始しなければなりません。
その後、捜査が進展した場合には、警察などから、事情を聞きたいとして警察署に来るよう求められることがあります。
これは、警察から「任意同行」あるいは「任意出頭」を求められているという状況です。この段階では任意で呼ばれているため、同行や出頭要請を拒否することは可能です。また、任意で同行・出頭に応じて事情聴取された場合は、いつでも退去することができます。
警察から同行・出頭要請があった際は、被疑者(犯罪の嫌疑を受けて捜査の対象となっている人)として呼ばれているのか、参考人(被疑者以外で、必要な事実を知っている人)として呼ばれているのかを警察に確認してください。
参考人として事情聴取のために呼ばれているのであれば、拒否することが可能ですし、事情聴取に応じる場合であっても、警察署ではなく自宅での聴取とするよう求めたり、自分の都合の良い日時を指定できる場合が多いでしょう(ただ、参考人として事情聴取を受ける中で、重要参考人となり、最終的に被疑者となる可能性は考えられます)。
被疑者として呼ばれている場合には、逮捕状が出ていない段階であれば、同行を拒否することは可能ですし、自宅での聴取を求めても問題ありません。しかし、出頭しないことを理由として、証拠隠滅や逃亡の可能性を疑われ、逮捕状を請求されるおそれはあります。
逮捕には、いくつかの種類があります。
(1)通常逮捕
裁判所の裁判官が発付した逮捕状により容疑者の身柄を拘束することです。
“警察官が逮捕状を持ってきて、家族を逮捕した”というような場合が通常逮捕に当たります。
(2)現行犯逮捕
犯罪を行っている犯人や、犯罪を行い終わった直後の犯人を、逮捕状なくして逮捕することです。
現行犯逮捕は、警察官以外の一般人でもすることができます。
例えば、目の前で被害者が鞄をひったくられた場合は、窃盗という犯罪が現に行われている場合ですので、被害者及び周りにいる目撃者はその痴漢の犯人を現行犯逮捕できることになります。
(3)緊急逮捕
容疑者が強盗、殺人等の一定の犯罪を犯したと疑うに足りる充分な理由があって、逮捕状を請求している時間がない場合に、逮捕状なしに被疑者の身体を拘束することです。
緊急逮捕が認められる犯罪は、法定刑により決まっています。
逮捕後に、緊急逮捕が正しかったかのチェックを行うために、警察官などは裁判官に対して逮捕状の請求を行います。
このように、捜査の進展に応じて刻一刻と状況は変化していきます。逮捕の前の段階から弁護士と緊密に相談することにより、不当な逮捕を防いだり、仮に逮捕されたとしても初期段階から迅速な行動が可能になります。また、逮捕された当初から弁護人が選任されていれば、安心して取り調べに臨むことができます。