兄弟が遺産分割に応じなかった事例5
ご相談内容
相手方が、被相続人の死亡直前に預金口座から預金を全額引き出してしまった。
依頼者が、相手方に対し、引き出した預金の法定相続分に相当する金額を支払うよう求めた。
これに対し、相手方が寄与分を主張し、預金は支払わない旨主張してきた。
解決事例
相手方に対し書面にて、寄与分の要件につき、法律の解釈、判例上の考えを踏まえ、丁寧に説明し、他方で、相手方は被相続人から特別受益を受けている旨説明した。
そうしたところ、相手方は、当方の主張につき理解を示し、早期に遺産分割協議書を取り交わし、遺産分割することができた。
結果として、依頼者は、相手方が引き出した預金の一定額を受領することができた。
ポイント
寄与分の民法上の条文は、「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」と抽象的な記載となっています。
また、特別受益の民法上の条文も、「被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるとき」と抽象的な記載となっています。
相手方が主張する事実を精査することで、相手方の主張が寄与分の要件を満たすか、又は相手方に特別受益が認められるかを判断することが重要です。