評価額と時価額とが乖離する不動産がある遺産分割の事例
ご相談内容
10年以上前に亡くなった父の遺産分割に関する相談です。
相続人は,相談者・母・姉の4名です。母と姉は同居して協力関係にあり,相談者には非協力的です。
以前,姉より自宅不動産の名義変更のために署名・押印が欲しいと言われたが,先に遺産を開示して欲しいと要請したところ,その後一切話が来なくなりました。
自宅不動産以外にどのような遺産があるか不明です。遺産の調査から,遺産分割をお願いしたいです。
解決事例
まずは,遺産の調査から始めました。ある程度概要を把握した上で,遺産分割調停の申立をしました。
不動産について,自宅以外に,避暑地の土地が複数ありました(原野のままで手付かず)。避暑地については,評価額と時価額との間に大きな乖離があり,相続人の誰も取得を希望しませんでした。
ところで,相手方である姉は,被相続人の生前から被相続人と同居しており,生活費について相当の利得を得ている疑いがありました。
この点,特別受益とまでは認定が難しいものの,一定の利益には与っていることを理由に,相手方である姉が上記避暑地を相続することで,相続人全員が納得し遺産分割調停が成立しました。
ポイント
遺産分割において、まず第1の問題は、遺産の所在・額などが分からないことです。被相続人の近くにいた家族が把握していることが多いのですが、その人が協力してくれない場合、なかなか把握しにくく、協議に入ることが難しい場合もあります。
今回は不動産を誰が取得するかということが争点となりましたが、評価額を低く見積もることで交渉できる場合もあり、今回の事例はそのような評価額を低くすることが有効であった例だと思われます。